原発性手掌多汗症の治療(イオントフォレーシス療法)について
原発性手掌多汗症は手掌、足底、腋窩、頭部顔面の限局した部位から両側性から過剰な発汗を認める疾患です。日本における有病率は10%程度であり、思春期から成人にかけて発症します。罹患により学習効率や労働生産性の低下、精神的苦痛、対人関係への悪影響がでて、患者の生活の質の低下をきたす可能性があります。今まで原発性手掌多汗症に対する第一選択の治療法は塩化アルミニウム外用療法とイオントフォレーシスでした。しかし、塩化アルミニウムは保険診療に適応のある外用剤はないことが問題でした。この度、日本初の原発性手掌多汗症治療薬としてアポハイドローションという薬剤が発売されました。1日1回就寝前に手掌に塗布して使用する薬剤となります。効果が乏しい場合にはイオントフォレーシス治療がございます。
イオントフォレーシス療法は汗の多い手のひら、足のうらを水道水の入った容器の中に浸し、直流電流を流す方法です。作用機序として通電することにより生じる水素イオンが汗の出口を傷害して汗をでにくくするのではないかといわれております。1回10分の通電を最初は週2回3週間程度行い、以後は週1回ずつ合計8-12回行います。汗が出なくなれば2-3週間に1回程度治療を行います。右手と右足、左手と左足に通電しますので治療時間は20分程度となります。副作用は少ないですが定期的な通院が必要になりますし効果には個人差がございます。なお、イオントフォレーシスは他の治療が無効な場合のみ保険診療ができますのでまずアポハイドローションで治療を行い効果不十分な場合にイオントフォレーシスを行います。
多汗症は症状がつらいにもかかわらず医療機関の受診率のとても低い疾患です。
近隣にイオントフォレーシスを行う医院も少なく、つらい症状が少しでも改善すればと考え、この度、当院でイオントフォレーシス治療を行うことといたしました。
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